近年、企業へのサイバー攻撃や個人情報の流出に関するニュースを目にする機会が増えています。
こうした報道を受け、「自分の個人情報は大丈夫だろうか」「以前利用したネットショップに、まだ住所や電話番号が残っているのだろうか」と、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、ネットショップを運営する立場から、意外と知られていない個人情報の保存の仕組みと、事業者・お客様それぞれができる対策についてお伝えします。
会員登録をしなくても、購入情報は保存されます
ネットショップで商品を購入する際、「会員登録せずに購入する」という方法を選んだことはありませんか?
会員登録をしなければ、住所や電話番号などの個人情報はショップに保存されないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
会員登録をしない場合でも保存される情報
会員登録をせずに商品を購入した場合でも、通常は次のような情報が注文履歴として保存されます。
お名前
ご住所・お届け先
電話番号
メールアドレス
購入した商品や注文日時
お支払い・配送に関する情報
これは、商品の発送だけでなく、購入後のお問い合わせや返品・交換への対応、法令に基づく取引記録の保存などに必要となるためです。
「会員登録をしないこと」と「個人情報が保存されないこと」は、まったく別の話なのです。
なお、保存される情報の種類や期間は、ショップや利用するシステムによって異なります。
なぜ購入後も個人情報が残るのでしょうか?
「商品が届いたのだから、住所や電話番号はすぐに削除してほしい」
お客様の立場で考えれば、そう思われるのも自然なことです。
しかし、ネットショップには購入後も一定の情報を保存する必要があります。
購入後の対応に必要な情報
例えば、商品に不具合が見つかった場合、過去の購入内容を確認しなければ適切な対応ができないことがあります。
返品・交換や配送に関するお問い合わせでも、注文内容やお届け先の確認が必要になる場合があります。
法令に基づく取引記録の保存
また、事業者には税務関係の帳簿や取引書類について、法令で定められた期間保存する義務があります。
そのため、注文が完了したからといって、すべての購入情報を直ちに削除できるわけではありません。
一方で、保存する必要がなくなった個人情報まで、いつまでも保持し続けてよいということでもありません。
大切なのは、保存する目的と必要な期間を明確にし、不要になった情報を適切に整理することです。
個人情報を保存する以上、情報流出のリスクはゼロにはできません
現在、多くのネットショップは、外部のECシステムや決済サービス、配送サービスなどを利用して運営されています。
こうした仕組みは、安全で便利なネットショッピングを実現するうえで欠かせません。
店舗側だけでは防ぎきれないリスクもあります
事業者自身がセキュリティ対策を行っていても、利用するシステムや外部サービスに問題が発生する可能性を完全になくすことはできません。
また、過去の注文情報が保存されている場合、万が一その情報を管理するシステムが不正アクセスを受ければ、以前購入されたお客様の情報にも影響が及ぶ可能性があります。
これは会員登録の有無にかかわらず、ネットショッピング全般に関係する問題です。
個人情報を管理しているのは、購入先のお店だけではありません
ネットショップで商品を購入した際、お客様の個人情報を取り扱うのは、購入先のお店だけとは限りません。
例えば、ネットショップの運営システム、決済サービス、配送会社など、商品をお届けするまでには複数の事業者が関わっています。
購入に関わるさまざまな事業者
それぞれの事業者では、サービスの提供に必要な範囲で、次のような情報を取り扱う場合があります。
ネットショップ:氏名、住所、連絡先、購入履歴など
ECシステム運営会社:注文や顧客情報の管理に必要なデータ
決済関連会社:決済処理、請求、不正利用対策などに必要な情報
配送会社:お届け先住所、氏名、電話番号、配送履歴など
なお、すべての事業者が同じ情報を保有しているわけではなく、保存する情報や期間も異なります。
お店で削除しても、すべての情報が消えるとは限りません
例えば、お客様から購入先のお店に個人情報の削除を依頼された場合でも、お店の管理システムから情報を削除するだけで、決済会社や配送会社などに保存されている情報まで、すべて削除されるとは限りません。
それぞれの事業者には、取引記録の保存やサービス提供、不正利用への対応など、情報を保有する必要がある場合もあります。
また、情報の管理については、事業者間の契約や法令に基づき、それぞれの責任や役割が定められています。
だからこそ、事業者ごとの適切な管理が重要です
ネットショップ側ですべての情報を直接管理できるわけではありません。
しかし、それは購入先のお店に責任がないという意味ではありません。
店舗側で実施できるセキュリティ対策に加え、外部サービスの適切な選定や、必要に応じた委託先の管理なども重要になります。
個人情報を守るためには、購入先のお店だけでなく、ネットショッピングに関わる各事業者が、それぞれの立場で適切な管理を行うことが大切です。
リスクがあるからこそ、継続的な対策が重要です
ただし、だからといって、情報流出は仕方がないと考えるべきではありません。
事業者には、個人情報を適切に管理し、流出の可能性と被害をできる限り小さくする責任があります。

当店が個人情報の管理で大切にしていること
当店「MARVYBOXS」では、ネットショップの運営にあたり、個人情報の適切な管理とセキュリティ対策を重要な課題と考えています。
店舗側で実施できるセキュリティ対策
管理画面へのアクセスを保護するための認証設定や、パスワードの適切な管理など、店舗側で実施できる対策に取り組んでいます。
不要になった会員情報の整理
また、過去には、会員登録から長期間が経過し、一度も購入履歴のない会員情報について、事前にお知らせを掲載したうえで整理を行ったこともあります。
一方、実際に商品をご購入いただいたお客様の情報については、税務上の保存義務や購入後の対応なども考慮する必要があります。
そのため、会員・非会員という区分だけで一律に削除するのではなく、保存の必要性を確認しながら適切に管理することが重要だと考えています。
今後も、必要以上に個人情報を保持し続けないよう、管理方法を継続的に見直してまいります。
お客様ご自身でもできる個人情報の保護
個人情報を守るためには、事業者側の対策だけでなく、お客様ご自身による日頃の注意も大切です。
例えば、次のような対策があります。
日常のネットショッピングで気をつけたいこと
1. パスワードを使い回さない
複数のネットショップで同じパスワードを使用していると、一つのサービスから情報が流出した際、ほかのサービスへの不正ログインにつながる可能性があります。
2. クレジットカードの利用明細を定期的に確認する
身に覚えのない請求がないか、こまめに確認しましょう。利用通知サービスを活用することも有効です。
3. 不審なメールやSMSのリンクを安易に開かない
配送業者やネットショップを装った偽メールも存在します。疑わしい場合は、メール内のリンクではなく、公式サイトやアプリから確認しましょう。
4. 利用していない会員アカウントを整理する
長期間利用していないネットショップのアカウントは、退会を検討することも一つの方法です。
ただし、退会しても法令上必要な購入記録などが残る場合があります。
5. 決済方法を状況に応じて選ぶ
クレジットカードの利用に不安がある場合は、ショップが対応している後払い決済など、別の支払い方法を検討することもできます。
ただし、どの決済方法でも個人情報の取り扱いがなくなるわけではありません。

大切なのは、事業者とお客様の双方が仕組みを理解すること
ネットショッピングは、私たちの生活に欠かせない便利なサービスになりました。
その一方で、商品を購入するためには、一定の個人情報を事業者へ提供する必要があります。
そして、その情報は会員登録の有無にかかわらず、必要な期間保存される場合があります。
情報流出のニュースを見ると、企業が個人情報を保存していること自体に疑問を感じることもあるかもしれません。
しかし、取引記録の保存には法律上・業務上の理由があることも、知っていただければと思います。
もちろん、それを理由に事業者が無期限に個人情報を保存してよいわけではありません。
必要な情報を、必要な期間、適切に管理する
必要な情報を、必要な期間、適切に管理すること。
そして、保存する必要がなくなった情報は、適切に整理すること。
これが、これからのネットショップ運営において大切な考え方だと思います。
当店でも、すべてのリスクを完全になくすことはできませんが、店舗側でできる対策を継続し、お客様に安心してお買い物をしていただける環境づくりに努めてまいります。
今後も、個人情報の保護やセキュリティに関する情報を、できるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと考えています。

